伊藤様邸物語

神奈川県横浜市の注文住宅工務店株式会社FESの家づくりの流れのご案内

予算との戦い(基本設計図決定・お見積り提出)

完成した基本図面を基に積算業務へと入りました。
伊藤様邸の場合、通常と比べて既製品を使用する部分が少ないので、材料の拾いをするのも一苦労でした。

伊藤様邸積算結果

1:基本本体工事費
NO 内容 金額
1 仮設工事 319,418円
2 基礎工事 805,230円
3 木工事・気密工事 6,243,287円
4 屋根工事・板金工事 511,220円
5 外壁工事 1,210,182円
6 鋼製建具工事 878,300円
7 木製建具・造作家具工事 1,166,125円
8 内外装工事 1,147,291円
9 電気・換気設備工事 776,520円
10 水道設備工事 460,000円
11 ガス設備工事(オール電化住宅) 0円
12 住宅設備工事 1,374,480円
  小計 14,892,053円
2:現場管理費・諸経費
  現場管理費・諸経費 2,978,410円
3:付帯工事費
1 水道給水管取出し工事
(水道局納付金・道路復旧含む)

257,000円
2 地盤調査・地盤改良費 700,000円
3 残土処理費用 150,000円
  小計 1,107,000円
4:設計費
1 建築設計費 665,000円
2 建築確認申請費用 90,000円
  小計 755,000円
合計(1+2+3+4) 19,732,463円
合計(消費税込) 20,719,086円

この、結果をお伝えさせていただくために、後日、伊藤様に弊社に来て頂きました。

伊藤様、こちらが皆で決めた間取りを『伊藤様の求める』性能と仕様で建てた場合の金額です。
【積算書をお見せしました】

やはり、これくらいの金額になるのですね。
しかし私が今まで様々な会社に相談してきた中で、FESさんが一番安かったです。しかも建物の大きさも考えていた以上の大きさであり、設備品の仕様、構造材、気密工事の事まで考えると本当に何もいうことはありません。

さて、これからが本番です。一緒に妥協しなければならない点を考えましょう。
伊藤様がお考えになられている金額は上限2,000万円です。現在、約75万円のオーバーとなります。さて、どうしていきましょうか?

最初にお話しさせて頂いた通り、まず地盤改良などの『付帯工事費』は削ることが出来ません。次に設計費用及び申請費用も無理です。そうしますと残るは間取りか仕様を変更するかしかありません

藤田さんの言う通りです。
私の中では、この間取りは、とても気に入っています。家内も子供たちも毎日、図面を見ながら楽しく話しています。だから、この間取りは変えるつもりはありません。そうすると建物になるのですが、構造や性能は、私が以前から考えていたこと、日々の生活や子供たちの将来を考えると、こちらも変えることはできません。

そうすると残るはデザインか設備のグレードということになります。しかし、これは私一人では決める訳にはいきませんので、帰って家族と考えたいです。

帰りがけ車に乗り込もうとする伊藤様に一言お話しさせ頂きました。

注文住宅』での家づくりで一番の難題は予算ですよね。
これは伊藤様だけではなく、どのお客様にも共通して言えることです。皆様本当に手間と時間をかけて会社やイベントを周り、少しでも安くて質の良い建物と会社を見つけようとします。

弊社のメンバーも『注文住宅』での家づくりの大変さを重々に解っていますし、何とかしてあげたいといつも思っていますが、そうかと言って値引きが出来る訳ではありません。
伊藤様もこの世界で働いている人間なのでお解りだと思いますが、簡単に値引きをしたり「○○キャンペーン」などを行っている会社ほど、どんぶり勘定な見積もりであって、しかもお客様の顔色やお財布の中身で値段を決めているのが現状です。

私達は、その場の雰囲気で価格を決めたり、お客様によって対応を変えたりすることは一切致しません。真剣に相談に来られるお客様に対して、とても失礼なことであり、職人さんに対して裏切ることにもなるからです。ですから変な駆け引きもしていない正直な金額を提示します。これがお客様に出来る精一杯のお手伝いだと思っております。

仮に、家族会議の結果、他の会社を探すことになっても仕方ありません。その時は自分の想いが届かなかったのだとあきらめます。しかし設備や内装の素材を落としてでも、もう一度、「藤田と話してみよう」という気持ちがございましたら、とことんお付き合いします。こちらからは一切、ご連絡はしないので本当にゆっくりと考えてください。また『断りづらい』とか『申し訳ない』といった事は一切考えないで下さい。そのような考えを持ちながら進めても、後で必ず後悔します。我々が今までお仕事させて頂いた分はお申込み金として頂いているのですから。

積算結果をご覧頂いてから数日後、伊藤様から電話が入りました。
『藤田さん。色々と考えた結果、内装建材の素材を変えようと思います。もう一度一緒に考えてもらえますか?』と相談の電話でした。私は喜んで、お会いする約束をしました。

知恵を絞る

私は伊藤様とお会いするまでに、もう一度、コストの見直しを行いました。
私が目につけたところは、木製建具と家具工事の部分でした。今回、伊藤様の考えている木製建具と家具などの収納は既製品を一切使わず、すべて建具屋さんの手造り(オーダー品)であるといったところでした。住宅に関わらず、オーダーとなれば、通常のものよりコストは上がることは、誰もがお解りだと思います。その中で私が考えたことは、弊社で扉や家具を造るための材料を安く仕入れ、それを建具屋さんに提供することでした。

この業界は様々な物流ルートがあり、同じ材料であっても、仕入れ価格に大きな差があるからです。

考えられる人間に片っ端から連絡をしたところ、個人で海外から材木を買い付けている人間と再会することができ、交渉の結果、以前より金額を落とすことができました。また建具の蝶番やハンドルなども、ネットで安い金物店を探し、購入することにしました。金物一つにしても、数が沢山ありますのでバカにはできません。ちなみに金物代で2万円ほど下げることができました。

最後は家具の制作をすべて家具職人さんにお願いするのでなく、一部の家具を弊社の大工さんにもお願いしました。基本的に、制作するための機械や道具のことを考えると、家具職人さんの方がよいのですが、大工さんでも技術と気持ちがあれば、代わり映えなく制作することも可能なのです。私は弊社の大工さんに事情を話したところ、快く引き受けてくれました。もちろん金額も下がりました。
これが私のできる精一杯のコストの見直しでした。

そして、また伊藤様とお会いする日が訪れました。
私がコストの見直したことをお話し前に伊藤様から以下のお話をいただきました。

  1. 外壁の材質を見なおす。
  2. 床の材質を変える。
  3. 照明器具を変更する

といった部分のコスト見直しでした。

1:外壁材の見直し

外壁材のグレードを少し落としました。伊藤様が選んでいたものが、上から2番目の高い素材でしたので、ランクを一つ下げました。もちろん、これでも十分耐久性のある外壁材です。

2:床材の見直し

一番のこだわりである床材です。水周りを除く1階~小屋裏までのすべての階に厚さ18ミリの無垢の床(ナラ材)と考えていましたが、まず小屋裏の床材を既製品の突板床に変えました。そして残りの部分も素材、厚みは変えずグレードを下げることにしました。こちらの無垢の床ですが、木の節や木目の雰囲気によって、同じ素材の床でも金額が全く異なるのです。

3:照明器具の見直し

最後は照明器具です。当初の照明をLEDで考えていましたが、通常の照明に変更し、かつ個数も減らすことにしました。

以上、伊藤様が変更した部分でありました。

私からは、例の木製建具の件をお話しさせて頂きました。もちろん伊藤様からも賛成の意見を頂きました
さらに、とても嬉しいお話もさせて頂きました。

実は、弊社には長期優良住宅の補助金制度を利用できる枠が5棟ございます。
伊藤様もご存かも知れませんが、ある一定以上の基準で家を建てれば、国から補助金が出るといったお話です。もちろん『伊藤様が求める家』は一定どころか、それ以上に住宅性能が優れていますので対象の建物となります。今回、伊藤様とお会いする前から『家造り』をご相談されていたお客様が、この補助金制度を利用する事になっていたのですが、土地の購入が遅れ、補助金申請期間内に工事が出来ないことになってしまいました。

構造計算や提出書類を作成する為に23万円かかりますが、100万円の補助金が出ますので、残りの77万円は全て伊藤様に還元されます。結果、仕様変更をしなくても、ギリギリ予算内に収まることが出来てしまったという事になりました。

今、補助金の話を聞いて、本当にびっくりしましたし、何とも言えないほど、うれしいです。

でも仕様は今、私と藤田さんで決めた方法でいきたいと思います。今回、藤田さんから『妥協する』することの大切さを教えてもらいました。本音を言うと、今、補助金のお話を聞いて一瞬、心が揺らぎましたが、これまでの仕様に戻してしまうと、結局、人に頼ったままで、『何も変わらない』ことになってしまいます。予算2000万円という金額についても、ただ銀行が融資してくれるMAXの金額であるだけで、『すべて使いなさい』という意味でない事も、しっかり受け止めたいと思います。だから先ほどお話した仕様変更の内容で進めたいと思います。絶対に後で後悔しない自信もあります!

思いがけない言葉を頂き、私は心から嬉しくなりました。
それは伊藤様自らが、自分や家族が本当に必要とするものを判断し、経済的な『家づくり』を考えてくれたからです。 FESが考える、『家づくりの想い』が伝わり、お互い共感しあった瞬間であり、私自身が『何よりも嬉しい』と思える瞬間でもあるのです。

見直し後の積算見積金額

下記の金額が『伊藤様が求める住宅』に必要とされる内訳となります。

1:基本本体工事費
NO 内容 金額 変更金額
1 仮設工事 (変更なし) 319,418円 0円
2 基礎工事 (変更なし) 805,230円 0円
3 木工事・気密工事
(床材減額+大工家具施工手間増加)

6,168,607円

▲74,680円
4 屋根工事・板金工事 (変更なし) 511,220円 0円
5 外壁工事 (仕様変更) 1,126,982円 ▲83,200円
6 鋼製建具工事 (変更なし) 878,300円 0円
7 木製建具・造作家具工事 (仕入・施工変更) 923,625円 ▲242,500円
8 内外装工事 (変更なし) 1,147,291円 0円
9 電気・換気設備工事 (照明器具変更) 731,230円 ▲45,290円
10 水道設備工事 (変更なし) 460,000円 0円
11 ガス設備工事 (オール電化住宅) 0円 0円
12 住宅設備工事 (変更なし) 1,374,480円 0円
  小計 14,446,383円 ▲445,670円
2:現場管理費・諸経費
  現場管理費・諸経費 2,889,277円 ▲89,133円
3:付帯工事費
1 水道給水管取出し工事
(水道局納付金・道路復旧含む)

257,000円
 
2 地盤調査・地盤改良費 700,000円  
3 残土処理費用 150,000円  
  小計 1,107,000円  
4:設計費
1 建築設計費 665,000円  
2 建築確認申請費用 90,000円  
  小計 755,000円  
合計(1+2+3+4) 19,197,660円 ▲534,803円
合計(消費税込) 20,157,543円  
長期優良住宅補助金 ▲1,000,000円  
長期優良住宅申請費等 230,000円  
総合計 19,387,543円  

この金額で、ご契約させて頂き、いよいよ工事へと入ります!